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     満腹でも飢餓状態の犬  

 本来、笑いは喜びからの表現で、うれしさ、楽しさを伝えるものだったのですが、そうした
情緒、感性を伝える笑いと、理性を重んじる言語世界にある現在の私たち人間は、愚かさ
醜さ滑稽なもの、それらの行為を蔑み哀れみて笑う一方、美しいもの、愛らしいものへの
笑みがあります。これらは言葉による認識の世界のことで言葉を理解出来ぬ者達には、
無関係な世界です。だから犬は、うれしくて楽しい喜びは尾を振って飛び跳ねたりして喜
びます。しかし、愚かなもの滑稽なもの美しいもの愛らしいものへの笑いはありません。
                                    そうした認識がないのです。
 愛犬家の犬は多くは擬人化された犬達です。家族の一員、飼い主のパートナー、伴に
楽しみ笑い暮らしていると愛犬家は思っています。楽しくて平和な暮らしにとやかく言うは
 野暮なことで余分なお節介です。「その犬笑えぬ」など云う方が馬鹿げています。けれども
その楽しい暮らしであるべき愛犬家の犬達に、その主人と笑えぬ事態が生じています。 
         愛犬家の優しさが犬達にとって恐ろしい不幸な事態を招いているのです。

 犬はその昔(人に飼われる以前)、群れを成して強きリーダーの下に狩をして暮らしていま
したが毎日が満足の出来る食事にありつけるとはかぎりませんでした。時には飢餓状態
に陥ることもしばしばありました。そうした状態を繰り返しての習性として空腹時には運動
能力は高められ、闘争的攻撃性を増し捕食行動の促進となる体質となりました。一方満腹
時には穏やかで平和な暮らしを楽しめたようです。そして今は、愛犬家の犬達はその家の
主人から充分な食事を与えられ幸せな暮らしをしています。優しい主人は充分過ぎる食事
を、そしておやつ間食、瘠せた犬だなどと云われぬように溺愛します。肥った犬の幸せが
そこに見られます。こうした犬達はやがて肥りすぎの病的事態が生じるのは当然のことで
結果、愛犬家は、与え過ぎの反省はそこそこに人と同じ食事療法をはじめます。断食では
ありません。低カロリーの食事ダイエットです。愛犬家ゆえ我が愛犬には我慢などさせず
充分に食欲を満たす低カロリー食を与え健康回復を試みるのです。結果、その健康管理は
成功したかに見えました。これが専門的な犬の飼育の知識がある人の指導での食事療法
なら良い結果を得られたでしょうが、一般市場での宣伝によるダイエット食品を無批判に 
取り入れての愛犬家のダイエットは愛犬にとっては恐ろしい事態、満腹でも飢餓状態と 
                                       なる場合があるのです。

食べても食べても満たされぬ食欲、そして何かに 

 犬は肉食獣です。主要な食物の成分は蛋白質です。これが著しく不足すると飢餓状態
になります。空腹時にはこの蛋白質を求めます。その欲求(食欲)は狩猟欲捕食行動へと
闘争的攻撃性を持った行動となります。しかし愛犬家の犬達は、すでに狩猟欲も捕食能
力も失った犬達です。でも困ったことに蛋白質不足でも攻撃性までも、これらの犬達から
忘れ消し去ってはいませんでした。蛋白質の不足という飢餓状態の満腹の犬達、「笑え
ぬ犬」の犬の気持ちを、犬は人と同様に思う愛犬家の皆さん解って下さい。このわけも解
 らぬ攻撃性での苛立ち、このストレスをどのように処理するかの答えを知らぬ飼い主、結果
                                   予期せぬ事態が生じるのです。

 攻撃は突然親和で築かれた愛犬家の平和の家庭を、意図も簡単に砕き破壊すること
でしょう。あの楽しかった日々、温和で穏やかな優しい目をした愛犬が・・・・・・・・・・・・・
                   ・・・・・・・問題犬へと・・・・・・笑えぬ犬へと。    以上。


  追記、映画「犬と私の10の約束。」の感動的なお話から、あなたも、愛犬に10の約束を誓う前に
あなたの愛犬に3っつのお願いをしたら如何でしょうか。1、吠えるな 2、咬むな 3、暴れるな。
                     それを聞き届けてくれたなら、10の約束を守る愛犬家になlりましょう。




              富士山 63a  




                                       

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